【DIE WITH ZERO】今を犠牲にしすぎる危険性と賢明なライフプランの提案

老後に備えすぎて、今を失っていませんか?


「老後2,000万円問題」や「人生100年時代」という言葉が話題になって久しい昨今。将来のために早くから資産形成を始めようという流れは、今や当たり前の考え方になりつつあります。

もちろん、備えは大切です。ですが、気をつけなければならないのは、その備えが“今を犠牲にすること”になっていないか?という問いです。

今回は、「将来の安心」のために“今”の生活や幸福を過度に切り詰めることの危うさについて、私自身の価値観や経験をもとにお伝えしていきます。


若年期という“最も豊かな時間”を、どう使うか

経済的自立を目指して資産運用や貯金を続けている方も多いと思います。

私もその一人です。将来的に資産収入で自由な時間を得たい、という目標を持ってコツコツ取り組んできました。

しかしその過程で気づいたのは、「人生でもっとも価値のある資源は“今”である」という事実です。

20代、30代の今こそ、心も体も柔軟で、学びや経験に貪欲になれる“ゴールデンタイム”。この時期を節約や我慢で乗り越えるだけの期間にしてしまっては、本末転倒だと感じるようになりました。

「老後のために今を抑える」のではなく、今こそが最大の投資タイミングなのです。


留学で気づいた、“今を豊かに生きる”という価値観

留学中、さまざまな国の人と関わる中で、とても印象的だったのが「日々の暮らしを楽しむ力」でした。

彼らは、今日の食事をじっくり味わい、友人や家族との時間を心から大切にし、ちょっとした出来事にも喜びを感じているように見えました。効率や将来の不安に縛られがちな日本的な価値観とは、少し違う空気感。そこには、“今を丁寧に生きる”という自然な姿勢があったのです。

そんな彼らの生き方を間近で見ているうちに、ふと自分に問いかけるようになりました。

「本当に、老後のために“今”を我慢する必要があるのだろうか?」

節約や貯金が悪いわけではありません。でも、人生の一番エネルギーに満ちたこの時期を、ただ「後のため」に切り詰めるだけで終えてしまっていいのか。そんな違和感が、少しずつ自分の中に芽生えてきたのです。


「延命のための貯金」は、本当に必要なのか?

私が大きな衝撃を受けたのが、ビル・パーキンス著『DIE WITH ZERO』の一節でした。

「生活の質がゼロに近い、人工呼吸器につながれた状態で数カ月を過ごすために、何年も余分に働いて貯金をしたいとは思えない」

この言葉に深く共感しました。

多くの人が「万が一のため」にと考えてお金を貯めています。でも実際に、そのお金が使われるのは、人生の最終盤における延命医療や介護であるケースが多いのです。

もちろん、必要な医療や介護を受けることは大切です。しかし、そのために“今”の人生を切り詰めてまで準備するのが本当に正しいのか?と考えると、私は違和感を拭えませんでした。

人生の価値は、「何年生きたか」ではなく、「どう生きたか」で決まると思うのです。


健康にこそ、積極的に投資するべき理由

私はスポーツモデルとして、NABBA JAPANやNABBA KOREAといった大会にも出場してきました。

食事管理やトレーニングを日常的に行うことで、身体の変化はもちろん、メンタル面にも好影響があることを実感しています。

この経験を通じて、私はある結論に至りました。

それは、「医療費は“治療”より“予防”に使うべき」という考え方です。

年老いてから病院通いに多額のお金を使うよりも、今のうちに健康な体を作ることにお金と時間を投じた方が、はるかに高いリターンがある

健康は、人生を楽しむための基盤そのものです。


不安に支配されず、“仕組み”で未来に備える

もちろん、未来への備えを考えないわけではありません。不測の事態に備える意識は大事です。

でも、必要以上に怖がって、ただただ貯金だけに頼るのは少し違うと感じています。

日本には、健康保険や年金、失業保険といった公的なセーフティネットが充実しています。これらをベースにしつつ、生活防衛資金さえ確保できていれば、多くのリスクはカバーできるんです。

不安に駆られてお金を貯め込むのではなく、仕組みを活用して、安心できる基盤を整える。そして、残ったエネルギーやお金は、もっと「自分の人生を豊かにすること」に使っていい。

今を楽しみながらも、賢く備える。そんなバランスのとれた生き方こそ、これからの時代にフィットしているのではないでしょうか。


本当に投資すべきは「今」の5つの資本

私は、人生を豊かにするための資本を5つに分けて考えています。

  1. 人的資本(スキル・学び・キャリア)
  2. 社会的資本(人間関係・ネットワーク・多文化対応力)
  3. 金融資本(貯金・投資)
  4. 時間資本(自由時間・選択権)
  5. 健康資本(心身の健やかさ)

この中で、金融資本“だけ”に偏った投資をしてしまうと、他の資本の成長を妨げることになります。

特に人的資本や健康資本は、若いうちにこそ最大のレバレッジがかかる資本です。

英語を学ぶ、技術を習得する、異文化に飛び込む──どれも若い時期だからこそ得られる経験と価値があります。

「今」という時間を削って資産を築くよりも、「今」を充実させた結果として、未来も自然と豊かになる──それが、私の信じる生き方です。


まとめ:不安ではなく、“意志”で人生を設計する

未来に備えることは大切です。

しかし、「不安」に支配されて人生を設計するのではなく、「意志」によって未来を描くことが大切だと、私は考えます。

  • 将来の安心のために、今を我慢しすぎていないか?
  • 本当に投資すべきは、今の自分の学び・人間関係・健康ではないか?
  • 不安に備えるのではなく、豊かさを生む行動をしているか?

これらの問いを持ち、意志ある選択を重ねていくことが、結果として最良の老後につながっていくはずです。

“今”を犠牲にすることは、人生の最も重要な時期を失うことにつながるかもしれません。

だからこそ、今を大切に、今に投資し、今を生きる。

それが、未来を豊かにする最も現実的な老後対策なのだと、私は信じています。


文系→外資IT勤務のクラウド系エンジニア。TOEIC955・英検1級・Azure・Cisoco系資格複数取得。フィットネス歴5年/NABBA JAPAN TOP3・KOREA TOP10。インプット過多を脱却するため、学びと気づきを発信中。

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