【人生の経営戦略】どちらに転んでも負けない人生戦略|ゲーム理論で差をつける意思決定術

「この選択、失敗したらどうしよう…」

「やりたい気持ちはあるけど、将来のことを考えると不安で動けない」

挑戦したいと思いつつも、不確実性への不安から一歩踏み出せない。そんな気持ち、あなたにも心当たりがあるのではないでしょうか。私自身、かつてはまさにそうでした。

しかし、戦略的思考を学ぶ中で出会った「ゲーム理論」の考え方が、私の人生の意思決定に大きなヒントを与えてくれました。

今回は、「どちらに転んでも負けない選択肢=絶対優位の戦略」を人生にどう応用するかを、実例とともにお伝えします。

戦略的な意思決定に必要な「絶対優位の戦略」とは?

まずご紹介したいのが、アメリカズカップという世界最高峰のヨットレースで起きた実話です。

当時チャンピオン艇だったデニス・コナーは、あるレースで挑戦艇と競り合っていました。ところが途中、挑戦艇が大胆に進路を変えたのです。これは、いわば“戦略の変更”でした。

このとき、コナーには2つの選択肢がありました。

  • ①進路を変えず、自分のペースを維持する
  • ②挑戦艇と同じ方向に進路を変える

どちらが正解だったのでしょうか?

ゲーム理論的に分析すると、風向きが変わるかどうかが勝敗を分ける鍵になります。

風向きコナーが進路を変えないコナーが進路を変える
変わらないリードを維持 → 勝利スピード落ちるが勝利
変わる挑戦艇が有利 → 逆転の可能性リード維持 → 勝利

この表から明らかなのは、「進路を変える」ほうがどの状況でも損しない選択肢であるということ。これが、絶対優位の戦略です。

情報発信者の世界でも同じ構造がある

このような戦略構造は、実はビジネスやキャリアの場でもよく見られます。例えば、株価の予測をするエコノミストたちの世界ではどうでしょうか?

有名な専門家が「株は上がる」と予測したとき、無名な人も同じ予測をしていては、どれだけ当たっても埋もれてしまいます。一方で、もし無名の人が“逆張り”して「下がる」と言い、実際に下がったらどうでしょう?注目が一気に集まります。

つまり、彼らにとっての絶対優位戦略とは、「他と違う予測をし、それが当たること」。ここに唯一のレバレッジがあるのです。

これは私たちの人生にもそのまま当てはまります。

私が留学経験とゲーム理論から得た3つの教訓

——「今すぐの成果」より「長期的に勝てる選択」を

私はこれまで、スペイン・ドイツ・フィリピンと、複数の国への留学を経験してきました。
語学力や国際経験を得たいという純粋な想いからの挑戦でしたが、それは必ずしも「成功」が約束されたものではありませんでした。

実際、スペイン・ドイツへのサッカー留学では、言語も通じず、自分の力を十分に発揮できず、挫折感を味わいました。就職活動で直接役立つ経験にはなりませんでしたし、当時は“失敗だったかもしれない”と思ったこともあります。

それでも、今振り返ってみると――
あの選択こそが、私の人生における“戦略的に勝つための第一歩”だったと断言できます。

その理由は、次の3つの教訓に集約されます。


① 「確率」ではなく「リターン幅」で選ぶ

留学は、成功確率でいえば決して高くない選択肢でした。
特に語学も人脈もない状態でのサッカー留学は、“うまくいかない可能性”の方が大きかったとも言えます。

でも、仮に成功した場合のリターンは圧倒的に大きい
異文化理解力、語学力、国際感覚――そして何より「自分の人生を自分で動かせる」という自己効力感が得られる。

このリターンの“面積の大きさ”を信じて選んだ結果、最終的に私はTOEIC955点を取得し、グローバル企業で働くというキャリアに繋がっていきました。

リスクがある選択でも、成功したときのインパクトが大きければ、それは“合理的”なベットになる。

これは、ゲーム理論でいう「期待値の最大化」に近い考え方です。


② 差別化できる分野にベットする

当時の私は、周りと同じような就活をしていても、自分の強みを活かしきれないと感じていました。

だからこそ、あえて「英語×IT」というニッチに身を置きました。
英語力を磨き、外資系IT企業に転職したことで、自分の“違い”がレバレッジになる世界が開けました。

このように、自分の「差異」を武器にできる領域で勝負することは、競争優位の本質です。

みんなが同じ土俵で戦っている中で、“ほんの少し違う方向”に賭ける。
それだけで、競争の密度が一気に下がり、活躍の余地が広がります。


③ 「パフォーマンス最適化」ではなく「戦略勝ち」を狙う

私は留学の過程で、何度も「今ここで成果を出せていない自分」に焦りを感じました。

でも、あとで気づいたのは、短期の成果よりも、長期で“勝てる構造”をつくることの方がずっと重要だということ。

目の前で英語が話せない、成果が見えない、評価されない――そんな状況でも、「この経験が将来にどうつながるか?」という視点を持ち続けることで、軸をブラさずに前に進むことができました。

そして気づけば、外資系企業でグローバルなプロジェクトに関わるまでになっていました。

要は、「一時の勝ち」より「長期で負けない構造」を築くことが、人生では本当の意味での“勝ち”に繋がるのだと学びました。

おわりに:挑戦とは、勝ちやすいゲームに自分を置くこと

失敗が怖い。将来が不安。

誰もがそう感じるからこそ、“絶対に負けない戦略”を選びたくなるものです。

でも、ゲーム理論が教えてくれるのは、「確実に勝てる道なんてない」こと。そして「どちらに転んでも損しない道」は、ちゃんと存在するという事実です。

人生の意思決定に迷ったとき、あなたの選択が風向きに関係なく得をするかを考えてみてください。

それが、最も戦略的な生き方への第一歩になるはずです。

風を読むのではなく、風に左右されない決断を。

それが、あなたの未来を変える本当の戦略です。

参考文献

山口 周『人生の経営戦略――自分の人生を自分で考えて生きるための戦略コンセプト20』(2025年1月15日刊/単行本)

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